2009年1月19日月曜日

資本主義は嫌いですか 竹森俊平 日本経済新聞出版社 その3


第Ⅰ部 ゴーン・ウィズ・ア・バブル

投資家の「食欲」に合わせた証券

債権のプールができると、それを元利の支払の原資として、「ボンド(債券)」が発行できる。住宅が住宅ローンの「モーゲージ(抵当)」にとられているので「モーゲージ・ボンド(住宅抵当債券)」と呼ばれていた。最近は「レジデンシャル・モーゲージ・バックド・セキュリティー(住宅ローン抵当証券)」略してRMBSと呼ばれている。
元利の支払を均等に分割して同質な証券を発行することも可能だが面白みが無い。投資家の「リスク・アペタイト(リスクに対する食欲の大きさ)」に合わせて証券を発行して販売する。
アーリー・ペイメント・リスクやディフォルト(債務不履行)リスクなどの危険の異なった証券をつくる。

「シニア(最上格)」「メザニン(中二階)」「エクイティー(株式並み)」という3つのトラッシュ(部分)に分ける。ディフォルトによってプール全体としての元利の受け取りの減少率がゼロから次第に上昇していくを考える。ゼロから5%まではエクイティーだけが影響を受け、5%でエクイティーの受け取りがゼロ。5%から20%までは、受け取りに変化が生まれるのはメザニンだけで、20%でメザニンの受け取りもゼロ。それ以上増加した場合は、次第にシニアの受け取りが減らされていく。リスクとリターンのバランスは整えられ、ディフォルトが無かった場合の金利は、シニア、メザニン、エクイティーという順に高くしていく。

サブプライム・ローンの大きな欠陥

RMBSはプライムについて開発された。そしてサブプライムを証券化するのも、原理は変わらないと考えられた。それが諸悪の根源だった。
1、サブプライムの債券不履行率データは歴史が浅く対象期間が短く、住宅価格が上昇傾向にあった時期をメインとすることで、安全性が過大評価された。
2、住宅ローン会社がディフォルトの危険を市場に売却して逃げることができる「オリジネート(住宅ローンの供給)→ディストリビュート(市場で売却)」のモデルのもとでモラル・ハザード(第三者に損害を押し付けられるので、与信が十分に行わない)が起こりやすいこと。

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