2009年1月21日水曜日

資本主義は嫌いですか 竹森俊平 日本経済新聞出版社 その5



第Ⅰ部 ゴーン・ウィズ・ア・バブル

現代錬金術が招いた悲劇

証券会社が個々の顧客を念頭において開発されたCDOやCDOの二乗という新商品は、マーケットで売却することが極めて困難であることが判明した。最低限のパブリック情報がないからだが、その代わりに格付けが用いられてきた。しかし、不履行が急増するとトリプルAの権威は失墜する。CDOがトリプルAで無いとするならばそれは何なのか?CDOが全然売れなくなる。バブルの形成と崩壊を見ることもできる。アメリカの住宅価格の上昇が金融新商品の拡大を支え、その急落が新商品の価値が暴落する悲惨な結末を招いた。

住宅バブルの景気刺激メカニズム

住宅バブルの景気刺激効果が大きい理由が、「エクイティー・エクストラクション(キャピタルゲインの活用)」アメリカの家計の行動 特に、住宅ローンの積極活用に見出せる。
2つの要因「金利の低下」「住宅価格の上昇」が2001~2005に揃う。
金利が下がっていて、持ち家の価格が上がっているとき、住宅ローンの借り換えをして、さらに持ち家の担保価値が上がった分までプラスアルファを余計に借りる。月々の返済額は同じ。すると余計に借りたぶんは一種のボーナス。消費に使える。実質的に豊かになれる。
借りたほうが得な理由と住宅ローンの履行率は持ち家が住宅ローンの抵当だという点が鍵となる。住宅ローンを不履行した場合、家計が持ち家を債権者に差押さえられる。住宅価格>元利ならば家を売って元利を返済したほうが家計にとっていは得。住宅価格<元利ならば差し押さえられたほうが得。

「砂上の楼閣」が世界を好況に

エクイティー・エクストラクションの仕組みの活用で家計消費が伸びた。それがアメリカの輸入を押し上げた。アメリカへの輸出国の経済も引っ張られて、好況を享受した。
そもそもアメリカの住宅バブルは、何が原因で発生したのか?

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