2009年1月23日金曜日

資本主義は嫌いですか 竹森俊平 日本経済新聞出版社 その7


第Ⅰ部 ゴーン・ウィズ・ア・バブル

住宅を投資対象にする地域

「個人所得」という変数で「住宅価格」の動きが説明しきれない8州。その8州では「平均住宅価格」を「一人当たりの所得」で割った指標の変動が大きい。住宅価格が個人所得の動きと乖離した変動を示す場合に初めて、「住宅ローン金利」「失業率」「住宅着工件数」など他の変数が有意に働く。
住宅の供給する「サービス」だけに注目して、「投資としての性格」には配慮しないとすれば、むやみに住宅価格を競り上げるような行動をとるとは思えない。
シラーのアンケートによると「住宅を購入するに当たり、その投資としての側面を考えたか」という質問に、「それが重要な要因だった」と答えたものが、2003年(ロサンジェルス、サンフランシスコ、ボストン)で50%近辺であった。

住宅価格の上昇を期待する人々

人々の行動に「バブル的」な要素があるかないかを決めるのに当たってもう一つ重要なのは、人々の価格についての「予想」である。
価格が上がると皆が予想して住宅を買うので、価格が実際に上がり、それを見てさらに価格が上がると皆が予想して住宅を買うので…といった「自己増殖的な価格上昇」が生まれてくる可能性がある。

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