2009年1月20日火曜日

資本主義は嫌いですか 竹森俊平 日本経済新聞出版社 その4



第Ⅰ部 ゴーン・ウィズ・ア・バブル

サブプライムの毒性を隠す現代錬金術

サブプライムを組み込んだRMBSの投資適格性を審査した主要格付け機関は、シニア・トランシュに対してトリプルAという最上級の格付けを与えた。トリプルAのお墨付きをもらったシニアの部分は魅力的なので需要がある。それに対してエクイティーやメザニンの部分は、「リスク・アペタイト」の旺盛な投資家であっても持て余すほどの毒性の強いものであるかもしれない。
その場合はこの部分だけ抜き出す。別のABS(抵当証券)と一緒にしたプールをつくる。危険が統計的に相関していないと思われる別種の資産(CMBS、商業不動産担保証券、製造業企業の設備投資ローン)を選び、そういうものをいろいろ混ぜたプールをつくると安全性は劇的に高まる…はずだった。
資産プールを基にして、再びシニア、メザニン、エクイティーというトランシュへの分割がなされ、ストラクチュアード・プロダクト(仕組み債)がつくられる。これを「CDO(コラテララオズド・デッド・オブリゲーション、債務担保証券)」と呼ばれる。CDOをつくる作業過程を「スライシング・アンド・ダイシング」と表現される。

格付け機関が有毒廃棄物にお墨付き

RMBSのリスクの高い部分を滑り込ませてつくったCDOも、シニア・トランシュに対しては、格付け機関がトリプルAを与えていた。CDOのメザニンやエクイティーのトランスに需要があるかどうかが、「滓の滓」「トキシック・ウェースト(有害廃棄物)」と言われる。
そこで再び「スライシング・アンド・ダイシング」の出番です。
さらに、別の抵当証券や金融派生商品などと一緒にプールに投げ込み、トランシュへ分割する。この仕組み債を「CDOスクエアード(CDOの二乗)」を呼ばれる。これのエクイティーの部分は…。
だがこのようにして個々の投資家の「リスク・アペタイト」にマッチした商品をつくることが可能になる。既製服ではなく注文服のようなものだ。

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