2008年11月6日木曜日

朝のリレー 谷川俊太郎☆

 朝のリレー 

カムチャッカの若者が
きりんの夢を見ているとき
メキシコの娘は
朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が
微笑みながら寝がえりをうつとき
ローマの少年は
柱頭(ちゅうとう)を染める朝陽にウインクする
この地球では
いつもどこかで朝がはじまっている

ぼくらは朝をリレーするのだ
経度から経度へと
そうしていわば交替で地球を守る

眠る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚時計のベルが鳴ってる
それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ



中学校のとき国語の先生が訛っていた。
私は東京生まれ東京育ち。その東京の公立中学校の国語教師が高知出身。

別に普通のことなのにとても不思議だった。
だから僕はこの詩を訛って覚えている。

訛っていなかったら覚えていなかったかもなんて思うと
結構感謝である。

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