2008年5月23日金曜日

真壁昭夫 日本経済の行方と金融市場動向を聞いて

2008.5.22
信州大学経済学部教授 真壁昭夫氏の講演にいきました。
 米国株価の推移を見ながら…1995年~2000年頃米国はITバブルだった。バブルは3~5年位の間に価格が3倍位になることを言う。ITバブルと言うのは株式のバブルでIT関連といえば株価が上がった。2000年8月ごろインテルショックをきっかけに株価が下がり始めた。(日本はバブルの終わらせ方として金利を上げたが、米国はここで金利を下げた)そして、米国では株価バブルから住宅バブルへと移行した。住宅が上がるからお金が無い人でも貸し込んで上がったところで売らせれば良かった。ところが住宅価格が下がり始めると途端に立ち行かなくなる。日本の銀行は住宅ローンは満期まで大体銀行が管理するが、米国は金融商品として販売した。その信用力の低い住宅ローンの破綻がサブプライムローン問題だ。ただし、市場にはまだ資金がジャブジャブある。その資金はどこに行くか。天然資源だ。石油だ。ということで資源国はバブルに沸いている。サブプライムローン問題はまだ解決できていない。B/Sの調整は時間がかかる。資産が下がっても負債は減らない。米国は立ち直るのに早くて今年いっぱい、それ以上かかるだろう。さらに欧州の銀行は大手ですら処理しきれていない。
 日本のGDPは約500兆円。その内個人消費は約60%、設備投資は約15%で合わせて75%。米国はGDPの70%が個人消費。住宅ローンが苦しくてガソリンが上がっている。消費の冷え込みは避けられない。米国の減税は日本と違って直接小切手が送りつけられる。米国人はすぐ使うだろうから多少は意味があるかもしれないが明るくは無い。
 ちなみに米国が景気が悪いならば中国があるさという話もある。たしかに日本の高度経済成長期の期間、成長率から考えてもう10年位は長期的には高成長が続くだろう。(一人っ子政策で人口分布がアンバランスになる時期は不安要素)高成長を続けなければ政府ももたないという事情もある。しかし、中国のGDPに対して輸出の比率は日本より高く30%もあり、多くは対米輸出だ。米国の個人消費のかげりが影響しないはずは無い。
 欧州経済は月に例えられる。自ら光るわけではない。さらに、フランス、スペインの土地バブルに対して金利政策はユーロで行うので各国で対応できない。東欧の成長が頼りだ。
 第一次オイルショック以前は1バレル4ドルだった石油が今は1バレル130ドルだ。石油はずっと基軸通貨ドルで取引されてきた。覇権国の通過が基軸通貨だ。もし産油国がドル建て以外で石油の取引をするとすれば、ドルは大暴落を起こす。基軸通貨プレミアが取れるからだ。
米国のGDP2008第一四半期は実質マイナス成長(成長率+0.6 在庫+1.0 実質-0.4)。
中国は北京オリンピックが終わった頃、食料輸入価格を下げる為に政府が容認するので、元の切り上げを行うだろう。
 日本は人口減、少子高齢化で魅力の無い国になっている。お客様に喜ばれ、人の真似のできない仕事をするしか生き残る方法はない。

0 件のコメント: